日本におけるアジアン雑貨
日本でアジアン雑貨の人気が出たのは21世紀初頭、まず『大中』などの中国雑貨が出始めその後タイに移行し、爆発的人気を出たのはバリ島を筆頭とするインドネシア、そしてまだ記憶に新しいのはベトナム雑貨です。
まるで雨後の筍の如くある日突然街に現れたかと思うと瞬く間に広がり、やがて淘汰され今に至ります。
アジアン雑貨が注目された背景には、実はバブル以降の日本の長引く不況があります。
それまで経済力にものを言わせ、世界中のありとあらゆる高級品を買い占めていた反動がやがて冷静に自らを分析し、身の丈にあった生活を求めるようになりました。
その過程に偶然見出されたのがアジアン雑貨なのです。
アジアン雑貨には、日本が敗戦後がむらしゃらにばく進した結果、置き忘れてきた東洋の心がありました。
ただ一進に走り続けた日本に安らぎと癒しを与えたのは、これらアジアン雑貨を生み出した東南アジア諸国だったのです。
欧米ばかりに目を向け、背伸びをしてきた日本に、東洋の郷愁を思い出させてくれたのが、失われた10年だったことはある意味皮肉なことです。
アジアン家具の人気の理由
さて、アジアン雑貨に含まれる家具といえば、少し前の世代なら映画『エマニエル夫人』で有名になったラタン製の豪華な椅子が浮かぶでしょうか。
また、世代が下れば、部屋の間仕切りに便利なアジアン・スクリーン・パーテーションがありますね。
さらに、もっとインテリアに凝る方なら14世紀から20世紀初頭まで約500年の長きにわたって朝鮮半島を治めた李氏朝鮮に作られた家具が浮かぶかもしれません。
いずれにしても、アジアン家具がアジアン雑貨同様、日本で人気が高いのは、やはり共通のテイストがあるからです。
それはアジアン雑貨やアジアン家具が東洋圏内にあるからです。
適度な異国情緒がありながら、決して知らないわけではない何やら懐かしい香り、それこそがアジアン雑貨や家具に共通するテイストなのです。
そのテイストはやはりアジアン雑貨や家具に使用される自然素材です。
ツルや木目を活かして作られた籠や家具に、懐かしさや癒しを感じない人はいないでしょう。
また、最近、注目されている和モダンもやはりアジアン雑貨や家具に通じるテイストがあります。
つまり、和でありながら、決して純日本風ではなく、『モダン』という適度な異国情緒を取り入れていることです。
こうしてみると、アジアン雑貨人気が長く維持され続けているのは、決して偶然ではなく、日本人の心の琴線に触れる何かがあるからなのです。
今後もアジアン雑貨や家具の人気は、日本人が東洋人でいる限り、一定の高さを保ち続けることでしょう。
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Last update:2024/1/9